凡人数学徒の徒然

私の身の回りに起きたこと、数学の話題などをポロポロと

今週の徒然(5)

このシリーズ??も5回目になりました。つまり一ヶ月以上が経ちました。一ヶ月ずっとお家にいます。これは人生で初めてかもしれない。最近は家にいることに慣れてきているのですが、悶々とする時があると外に出たくなるのもまたあるので、やはりちゃんと外にも出て活動することが一番健康的なのかなと思います。そういえば緊急事態宣言が解除されました。先週の徒然でも述べましたけど、予想通り大学が始まるわけではないので何も変わりません。ここで僕が大学で今したいことを述べると、

 

  • 静かな環境で研究がしたい(一日中没頭したい)
  • 生協で色々安く買い物を済ませたい
  • 修士の院生室から博士の院生室に引越しを済ませたい
  • 数学科の皆さんに会って色々話したい

くらいです。実際これはZoomとかオンラインでできることもあるのですが、違うんですよ。はい。顔を見て笑いながらスムーズに会話がしたいのですよ。Zoomとかでは伝わらない何かがあるのですよ。これはその人の雰囲気とか、動作とか色々ありますけど、やっぱり生と画面上では大きく違いますね。

こと数学科となるとこれが大きな違いなんですね。ここで数学科のゼミ、主に四年生から始まる先生と少人数制の輪講というものについて述べましょう。数学科のゼミはまず読む本を一冊決めることから始まります。これは先生が適当に選ぶときもあれば、先生に候補を挙げてもらってそこから選ぶなど、色々な形があります。ですがまず、先生の専門分野の本を1つ選びます。文系の方からしたら一冊だけ?となる方もいますでしょう。そう一冊だけなんです。ですが、数学書を読むにあたって気をつけなくてはいけないことがあります。これは僕が感じていると同時に、多くの先輩数学者の皆さんも同意してくれるであろうことです。それは

「理解した気になってはいけない」

ということと

「何も見ないで人に説明できるくらい」

これが求められます。2つ目に関しては少し厳しいのかもしれません。ですが、僕の学部の先生もそのようにゼミを進めていました。理解した気になると、数学科のゼミでは、後で後悔することになります。なぜなら、黒板の前で呆然と立ち尽くすことになるからです。ゼミ中、先生方は要所要所で学生に、「ここはどういう意味ですか?」や「それは嘘ですね」などツッコミを入れてきます。この際に的確に対応できなかった場合。黒板の前でそれを解決するまで終わりません。そして時間が過ぎ、終わりにしますか。。。となります。これがきついんですよ。文字だと伝わらないのですが、黒板の前で静かな部屋の中、先生に見られながらその突っ込まれたところについて考え続けなくてはいけないので、冷や汗が出てきて、頭が真っ白になることもあります。それだけ数学というのは正確に理解することが求められる学問なのです。

それでも理解できたときは目の前がすっきりと晴れ、その概念を自由自在に使えるようになり、それを何も見ないで他人に説明できる、専門家になれたとき、その嬉しさは快感です。

このようにゼミで数学をする筋力を鍛えたのちに、論文などを正確に読み取る能力を培い、自分の数学を作っていくのだと思います。

 

数学科の強みはこういうところなのかなと思う。しかし案外数学科の皆さんはこれに気づいていない気がする。ITなどに強くなるのも確かに事実ではあるが、もっと強いのです、数学科は。自信を持つべきです。自信過剰、傲慢になるのを恐れ過ぎては仕方ないのです。数学科はゼミでコミュニケーション能力だって身につく。それを生かして活躍していってほしい。

巷では数学科は就職先がないと言われる。そんなことはないのです。なんでこんなに不安にさせるのだろう。みんな数学科が嫌いなのか?僕の周りは優秀で、ちゃんとみんな就職している。