ヒーガード分解
今回はヒーガード分解について書いていきたい.
ハンドル体
ハンドル体とは一言で言えばドーナツです.中身の詰まっていないドーナツのことをトーラスと言います.これは数学的に定義すると以下のようになります.
『3次元の種数gのハンドル体とは3次元球体に3次元1-ハンドルをg個つけたものである』
この定義でしらなくてはいけない用語は,種数,3次元球体,1-ハンドルになります.ちなみにgは正の整数です.
3次元球体とは石ころに同相なものです.つまり2次元球面の中身が詰まったものです.数式で書けば,
に同相なものです.
種数は簡単に言えば穴の数ですね,
例えばトーラスの種数は1 です.
最後に1-ハンドルですが,これの説明は案外難しくて,その物自体だけでなく,これはくっつける領域を決めなくてはいけないものです.一般に,1-ハンドルというと境界のある3次元多様体にくっつけるもので]において, とでくっつけるものを1-ハンドルと言います.
イメージで言えば,太い棒の両端だけくっつけるといった感じですかね.このようにくっつける棒を1-ハンドルと言うのです.
3次元球体は境界が球面であるような3次元多様体であるので,確かに1-ハンドルをくっつけていくことができます.
https://ja.wikipedia.org/wiki/種数
wikiにそのイメージが乗っています.ハンドル体の定義も一応乗ってますね.
ハンドル体が準備できるとヒーガード分解が定義できます.
ヒーガード分解
では本題のヒーガード分解を定義していきましょう.
まずヒーガード分解とは3次元多様体,特に閉でかつ向き付け可能であるものに対して定義されます.そのような多様体をMと置きましょう.
種数gのハンドル体を2つ準備します.それをV, Wと置きます.
この時Mが
でかつ,を満たしているときに,こののことをMの種数gのヒーガード分解と言います.のことをヒーガード曲面と言います.
例えば3次元球体と3次元球体をその境界で張り合わせることで3次元球面が出来上がることが示されているのですが,これは種数0のヒーガード分解の例になっています.特に種数0のヒーガード分解を持つ多様体は3次元球面だけであることが球面の写像類群が自明であることからわかります.
ヒーガード分解の研究
ヒーガード分解の研究はよくされていますがその1つが分類です.分類とはup to isotopyつまりヒーガード曲面のisotopy類を列挙せよという問題です.
ここでこれに関してしられていることを挙げておきましょう.
1つは3次元球面のヒーガード分解の一意性です.これはWaldhausenによって示されました.
さらにいうとレンズ空間という3次元多様体に対して同じことをBonahonとOtalが示しました.
ですが一般に有限個のたくさんのヒーガード分解を持つ多様体があることも知られているので,そのヒーガード分解を全て列挙することがこれからの目標といった感じです.
これらは全てirreducible ヒーガード分解を考えています.